2024年7月5日金曜日

xTalks Vol.22 テーマ:みんな、なんで劇場に行かないの? ―労作教育の最前線としての演劇―

運営の濵田です。今回のテーマは「演劇」。実は、第1回のxTalksが演劇だったので、それ以来の久々のテーマ設定でした。そのため数年ぶりにご参加いただいた方々も多く、いつもながらの爽快なクリエイト体験とともに、なつかしさをも感じた回となりました。

演劇に関するイメージ、みなさんはどの程度お持ちでしょうか。実のところ、私はほとんどイメージがございませんでした。ただ漠然と、演劇は敷居が高そうだ、チケット代が高そうだと、そういうイメージのまま敬遠していたのが実情です。

しかし、赤羽先生がお話しされている時に、多和田先生がチャット欄に書き込んだ内容が、私にとって演劇のイメージを大きく変えてくれました。「演劇は日常の中にありすぎて、かえって気づかない」。我々が意識できていないだけで、すでに我々は演劇のエッセンスとともに暮らしているのです。そう考えることができた時、演劇に対する私の敷居は、一挙に下がりました。

玉川学園・玉川大学では、労作教育の一環として観劇の機会を多く設けています。まず原体験を積むという点だけでも、たいへん意義深い取り組みです。それに加えて、学生の皆さんに演劇のエッセンスに気づいてもらうためには、どうしたらいいだろうか?労作教育の意義を、あらためて問い直すきっかけともなりました。

グループセッションでは、4C分析(customer value, cost, convenience, communication)の要素ごとに分かれて意見交換をしましたが、ここでも印象に残った言葉があります。演者が抱える思いと、聴衆が抱える思い、そこにギャップがあるのかもしれないという話になった際、第1回xTalksでご講演くださった演者の方が、「作品を見てほしいというエゴ」とご発言されました。これがエゴになってしまうのか・・・と思いつつ、なるほど、近年の“推し”という社会現象は、演者を過度に理想化してしまう現象なのかもしれないと、妙な納得感を得ました。こうしたギャップの解消は、どうすれば可能なのでしょうか。聴衆の作品に対する鑑賞力が問題なのか、没入感を生み出す演じる力や舞台装置が問題なのか。少なくとも、作品内容に対して、そして、その瞬間のその場において、いかに共感を生み出すかがカギとなるのでしょう。

こうしたギャップを埋めていくこと、そして、演劇に対する敷居を下げること。「みんな、なんで劇場に行かないの?」の答えは、この辺りに存するのだと思います。そのためには、幼少期から演劇に触れたり、演劇のエッセンスを理解したりする機会があってほしい。そうした地道な積み重ねが、豊かな芸術・文化の基盤を生み出すのだろうと思います。



xTalks Vol.22 テーマ:みんな、なんで劇場に行かないの? ―労作教育の最前線としての演劇―

運営の濵田です。今回のテーマは「演劇」。実は、第1回のxTalksが演劇だったので、それ以来の久々のテーマ設定でした。そのため数年ぶりにご参加いただいた方々も多く、いつもながらの爽快なクリエイト体験とともに、なつかしさをも感じた回となりました。 演劇に関するイメージ、みなさんはど...