2026年6月13日土曜日

xTalks Vol.37 テーマ:xTalks Vol.37 回復をデザインせよ ― 戦略的に休むための実践とテクノロジー ―


「休んでください。」

私たちはそう言われることには慣れています。

疲れたら休みなさい。
無理をするな。
有給を取りなさい。

けれども、不思議なことがあります。

私はこれまで何度も「休め」と言われてきましたが、「回復しなさい」と言われた記憶がほとんどありません。

そもそも、休むことと、回復することは同じなのでしょうか。

もし違うのだとしたら、私たちは「回復」についてどれだけ知っているだろう?とかなりモヤモヤしてしまいます。

休日を取ったのに疲れが抜けない。
しっかり寝たはずなのに身体が重い。
何もしないで過ごしたのに、気持ちが晴れない。

そんな経験は、多くの人に心当たりがあるのではないでしょうか。

自己紹介が遅くなりました。
今回のコーディネータ役の玉川大学工学部の小酒井がレポートさせていただきます。

今回のxTalks Vol.37では、「回復をデザインせよ」をテーマに掲げ、教育、スポーツ科学、テクノロジー、環境デザインという異なる視点から、人が回復するとはどういうことなのかを考えました。

<話題提供①>
阿部 隆行 先生(玉川大学教育学部教育学科)
「もしも学校に「休養」という授業があったら〜休むことで夢を叶える令和版健の教育〜」

私はタイトルを聞いただけで、少し考え込んでしまいました。

阿部先生のおっしゃるとおり、

学校には体育があります。
食育もあります。
しかし、「休養を学ぶ授業」はありません。

阿部先生は、現代の子どもたちを取り巻く環境として、睡眠不足や運動不足、長時間の座位行動、スクリーンタイムの増加などを挙げながら、「回復する力」を育てる教育の必要性について語られました。

私にとって、特に印象的だったのは、超回復とオーバートレーニングの話です。

人は負荷をかけることで成長します。
しかし、その成長は負荷そのものによって生まれるのではありません。
回復によって生まれるとおっしゃるのです。

たしかに、十分な休養があって初めて、身体も心も次のステージへ進むことができます。
逆に、回復しないまま走り続ければ、やがて疲弊し、パフォーマンスは低下していきます。

それはスポーツだけの話ではありません。
勉強も仕事も、研究も、子育ても同じです。
頑張る方法は教わる。
でも、回復する方法は教わらない。

そのアンバランスさに、あらためて気づかされました。

阿部先生の話の中で、「体育があるなら、休育があってもいいのではないか」 という言葉がありました。

言われてみれば、その通りです。

私たちは運動の仕方は学びます。
食事の大切さも学びます。
しかし、どう休めばよいのかは、ほとんど教わったことがありません。

睡眠不足が問題だと言われる。
スマホを見すぎだと言われる。
もっと運動しろと言われる。

でも、その先にある「回復する力」をどう育てるかについては、驚くほど語られてこなかったように思います。

さらに阿部先生は、「体育」の『体』から一本線を引くと『休』になることを示しながら、「その一本線は玉川の『夢』にもつながる」と語られました。
そう。玉川の「夢」は一画多いのです。

参考:https://www.tamagawa.jp/introduction/history/detail_10927.html

休むことで英気を養い、夢の実現につなげる。
会場からは思わず笑みがこぼれましたが、その中には、休養を単なる息抜きではなく、よりよく生きるための力として捉え直そうというメッセージが込められていました。

休養とは何もしないことではない。
むしろ、自分自身の状態を理解し、その時に必要な回復方法を選択すること。そのための知識と実践こそが「休養リテラシー」なのだと感じました。

<Lightning Talk>
今回のLightningTalkでは、玉川アスレチックス・デパートメント(TAD)の内藤誠哉さんから、玉川大学とリカバリーウェアメーカーVENEXとの包括連携協定について紹介がありました。

睡眠やセルフコンディショニング、ウェルビーイング向上に関する共同研究や教育活動など、大学という場で「回復」を実践的に探究する取り組みが進められていることが共有されました。

私自身、あまり意識していませんでしたが、これはすごいですね。
次の東洋メディアリンクスの北澤さんと、私たち玉川大学との産学連携にも大きく関わってくるところです。

<話題提供②>
北澤 謙二 氏(東洋メディアリンクス株式会社)
「生活とデザイン - 会議室と癒しの関係 -」

正直に言えば、私は「回復」というテーマから、睡眠や運動、栄養の話を想像していました。
ところが北澤さんが語ったのは、会議室でした。

では、なぜ会議室なのか。
しかし、北澤さんの話を聞くうちに、その意味が見えてきました。

東洋メディアリンクスは、1957年に日本で初めてBGM事業を展開した企業です。その原点には、「高度経済成長を支える労働者たちの心身を癒したい」という想いがあったといいます。

北澤さんは、自社を「環境アーキテクト」と表現しました。



映像
香り
植栽

こうした要素を組み合わせながら、人が心地よく過ごせる環境を設計する。
それは単なる空間演出ではないのだとおっしゃいます。

北澤さんが提示されたのは、人の気持ちや行動、コミュニケーション、さらには回復にまで影響を与える環境づくりでした。

私たちは一日の多くを環境の中で過ごしています。

会社であれば会議室やオフィスですし、学校であればキャンパス、教室などです。
他にも、店舗、駅などなど。

そうした空間は、本当に人が元気になるように設計されているのでしょうか。

北澤さんは、音や光、香りといった五感への働きかけを通じて、人が自然と落ち着き、集中し、時には回復できる環境をデザインしていると語りました。

特に印象的だったのは、企業から「リカバリールームを作りたい」という相談が増えているという話です。

しかし、そこにはもう一つの課題があるとおっしゃいました。

場所を作るだけでは、人は回復しない。

休める空間があっても、そこでどう回復するのかを知らなければ、その価値は十分に発揮されないでしょう。
この話は、阿部先生が提起した「休養リテラシー」の話と見事につながっていました。

北澤さんの話を聞きながら、「玉川にもリカバリールームが欲しい」と思った参加者は私だけではなかったかもしれません。

広いキャンパスを歩き回る学生や教職員にとっても、短時間で気持ちを切り替えたり、心身を整えたりできる空間の存在は大きな価値を持つはずです。
さらにいうなら、広大なキャンパスのところどころにあるのが理想だなと思います。

回復を個人の努力だけに委ねるのではなく、環境そのものが支える。
そんな発想は、これからの学校や職場づくりにも大きな示唆を与えてくれました。

また、最後には、今後、回復を目指すスリープツーリズムの開発にむけて、参加者へコラボのご提案をされていました。
小酒井研はぜひ参加したいと思っています。みなさんもいかがでしょうか?

<テーブル座談会>

テーブル座談会では、以下の問いについて議論しました。

「なぜ私たちはうまく休めないのか」

「自分にとって効果的な休養とは何か」

「働き方や環境をどう変えれば回復しやすくなるのか」

今回も、xTalksらしく座談会は大いに盛り上がりました。
25分という予定時間が短く感じられるほど活発な議論が続き、各テーブルでは自身の経験や実践、悩みが次々と共有されました。

旅行で回復する人。
運動で回復する人。
音楽で回復する人。
人との対話で回復する人。

回復の方法は実にいろいろあるんですね。

私なんかは、研究をすることで回復するような気がしますし、趣味では漫画を呼んだり、アニメを見たり、観劇したり、温泉入ったり、ビール飲んだり、たくさんあります。

一方で、

休むことに罪悪感がある。
何もしないと落ち着かない。
休んでいるのに回復している気がしない。

といった声も聞かれました。

きっと回復にも正解はないのでしょう。
だからこそ、自分自身にとっての回復とは何かを考える時間そのものが、とても価値のあるものだったように思います。
参加者の皆さんの真剣な表情からも、このテーマが多くの人にとって切実な問いであることが伝わってきました。

今回のxTalksを企画した理由は、とても単純なものでした。
私自身、「休んでください」と何度も言われてきましたが、回復しなさいとは言われた記憶がないという話をしましたが、参加者の一人として当日の議論を聞いているうちに、その理由が分かった気がします。

休むことは行動です。

一方で、回復することは結果です。

だから私たちは、「休め」とは言われても、「どう回復するか」を学ぶ機会が少なかったのかもしれません。

阿部先生は、そのための知識や習慣を「休育」として提案しました。

北澤さんは、そのための環境をデザインする可能性を示しました。

どちらも共通していたのは、 回復は偶然起こるものではないということです。

回復は、学ぶことができる。
回復は、設計することができる。

回復は、一人で頑張るものではなく、環境や社会によって支えることもできることを、今後は多くの人や会社、学校が意識していく必要があるのだろうと思いました。

今回のxTalksは、「休む」から一歩進んで、「回復するとは何か」を考える時間になりました。

ある参加者の方に、「xTalksが私にとっても回復の時間です」とおっしゃっていただいたのがうれしかったなぁ。

さて、あなたは、自分自身の回復をデザインできているでしょうか?

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xTalks Vol.37
回復をデザインせよ
― 戦略的に休むための実践とテクノロジー ―

「回復」を設計する時代の働き方と生き方を探ろう。

私たちは本当に「回復できている」のでしょうか。
忙しさの中で、ただ時間を止めることはできても、心身が回復するような休養は、意外なほど設計されていません。

本来、休養とは「次に向かうための回復プロセス」であり、個人のパフォーマンスや創造性を支える重要な基盤です。
それにもかかわらず、そのあり方は個人任せにされ、体系的に語られる機会は多くありません。

本イベントでは、教育・スポーツ科学の視点から「休養の意味」を捉える阿部隆行先生(玉川大学教育学部)、そしてテクノロジーと実務の現場から「休養の実装」を考える北澤謙二氏(東洋メディアリンクス)をお迎えし、

・なぜ私たちはうまく休めないのか
・休養はどのように設計できるのか
・AI時代における「回復」のあり方とは何か

といった問いを軸に議論を深めていきます。

休むことを、「戦略」に引き上げる。
そのための視点を、ここから探っていきましょう。

●こんな方にオススメ

休んでいるはずなのに、なぜか疲れが抜けない方

頑張ることには慣れているが、「休み方」は教わってこなかった方

「休養」を感覚ではなく、戦略として捉え直したい方

テクノロジーを活用して、コンディションやパフォーマンスを高める方法に興味がある方

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日時:6月12日(金) 18:00~20:30
場所:玉川大学STREAM Hall 2019アカデミックスクエア

話題提供:
① 阿部 隆行 先生(玉川大学教育学部教育学科)
「もしも学校に「休養」という授業があったら〜休むことで夢を叶える令和版健の教育〜」

② 北澤 謙二 氏(東洋メディアリンクス株式会社)
「生活とデザイン - 会議室と癒しの関係 -」

2026年5月8日金曜日

xTalks Vol.36 テーマ:外に出ることで、人生は動き出す ― 異文化体験がひらく「自己」と「選択肢」 ―

「外に出た方がいいよ」

そう言われて、素直に動ける人は、どれくらいいるでしょうか。

忙しいし、面倒だし、そもそもそこまで強い理由もない。
なんとなく気にはなるけれど、決定打に欠ける。
結局、同じ場所に居続ける。

それが、多くの人のリアルではないでしょうか。

一方で、「外に出れば人生が変わる」という話も、私たちは何度も聞いてきました。
海外に行けば成長できる、視野が広がる、、、たしかに、それっぽい気もします。

でも、本当にそうでしょうか。

もしそれが本当なら、外に出た人はみんな変わっているはずです。
しかし、現実はそこまでうまくはいっていません。

xTalks Vol.36は、こうした“当たり前すぎる前提”をあえて疑うところから始まりました。

そしてこれは単なるテーマ設定ではありません。
玉川大学が掲げるESTEAM教育におけるELF(English as a Lingua Franca)や、異分野融合の思想を実装していくためには、避けて通れない問いでもあります。

外に出るとは、単に場所を移動することではなく、自らの前提や専門の枠を越えていくことです。
その経験なしに、真の意味での共創や越境は成立しません。
だからこそ本テーマは、本学の教育思想そのものに直結する重要な論点なのです。

ここで、今回のテーマをあらためて見ておきます。

「外に出ることで、人生は動き出す― 異文化体験がひらく『自己』と『選択肢』 ―」

このタイトルで意図しているのは、「人は変わるのか」という問いに対して、あえて「変わる」とは言い切っていない点にあります。
重要なのは劇的な変化ではなく、何かが「動き出す」という感覚です。

外に出ることで、すぐにスキルが身につくわけではありません。
しかし、自分の中にある前提や正しさが揺らぎ、それまで見えていなかった選択肢に気づく。
その瞬間に、人生は静かに動き始めるのではないでしょうか。

話題提供①:
山本一貴さん「つまらないなら外にでろ!-ノリと勢いが広げる人生-」

「海外に行っても、人生は劇的には変わらない」

今回の議論でまず印象的だったのは、この一言でした。
バックパッカーとして世界を巡り、インドでの生活も経験した山本さんが語ったのは、華やかな成功談ではなく、むしろその逆です。
英語が急に話せるようになるわけでもなく、スキルが爆発的に伸びるわけでもない。むしろ不便やトラブルの連続であり、非効率な体験だとおっしゃいました。

それでもなお価値はある。
なぜなら、そこで初めて「正しさや幸せは一つではない」と実感できるから。
世界は正しい人と間違っている人に分かれているのではなく、ただ違う人がいるだけである。
この認識の転換が、自分の中にあった見えない前提を崩していきます。


話題提供②:

原洋平先生「外に出て、初めて見えるもの―解き放たれる自己と意識される日本―」

「正しさは、場所によって変わる」

原先生の話は、さらに一歩踏み込み、「正しさ」という概念そのものを問い直すものでした。海外に出ると、自分は個人ではなく「日本人」として見られるという驚きすら覚えた気づきを共有いただきました。
何気ない言動が、そのまま国民性として解釈される。
約束を守るかどうか、時間に対する感覚、他者への配慮。
それらがすべて「日本人とは何か」という問いに接続されていきます。

さらに印象的だったのは、英語に対する認識のズレです。
日本では正しい文法や発音が重視されますが、海外では多少崩れていても「伝わること」が優先される。
この違いが、私たちの中にある「話せなさ」を生み出しているのかもしれません。
ここでも問われているのはスキルではなく、自分が何を正しいと信じているのか、その前提そのものなにかもしません。


Lightning Talk

「越境は、海外だけではない」
今回のxTalksの成果をより立体的にしていたのが、Lightning Talkで提示された多様な視点でした。

新井さんは、海外ではなく秋田でのゼミ合宿経験を語りました。
インドア派で実家志向の彼女が、3泊4日の滞在を通じて得た気づきは、「遠くへ行って近くを知る」というものでした。
非日常的な環境に身を置くことで、自分の中の当たり前が相対化される。
越境とは必ずしも海外ではなく、異なる時空間での非日常と深く関わることによっても起こるのです。

石川さんの玉川学園・玉川大学のTAP(Tamagawa Adventure Program)に関する話からは、越境が地理的な移動を伴わなくても起こり得ることが見えてきます。
チームでの課題解決や振り返りを通じて、自分の考え方や他者との関係性が揺さぶられる。これもまた一つの越境のかたちです。

近藤先生の話では、マレーシアでの経験を通じて、日本の社会がどのように築かれてきたのかという問いに向き合い、「歴史を学ぶ意味」を実感したことが語られました。
同時に、多様性を受け入れることの難しさも示されました。
頭では理解していても、実際に異なる文化に触れたとき、人は簡単にはそれを受け入れられない。
そのリアルな感覚は、多様性を考える上で重要な示唆を含んでいます。

こうした多様な視点を並べてみると、一つの共通点が浮かび上がります。人は必ずしも変わるわけではない。
しかし、確実に揺さぶられる。
そしてその結果として、選択肢が増える。

変化ではなく、拡張。

それが「外に出る」という行為の本質なのかもしれません。

では、どうすれば外に出ることができるのでしょうか。
今回の議論で示された答えは、意外なほどシンプルでした。
美味しいものを食べに行く。
興味のある文化を見に行く。
まずは国内からでもいい。
重要なのは、大きな決意ではなく、「ちょっと面白そう」という感覚です。

そしてもう一つ重要なのは、トラブルや違和感をどう受け止めるかです。
それを失敗と捉えるのか、それとも面白い経験と捉えるのか。
その違いが、同じ出来事の意味を大きく変えていきます。

海外に出た経験が無い方は「少し恐い」という感覚を覚えた一方で、海外へ出た経験が多い人たちに「突き抜けた何か」を感じることができたようでした。

外に出る意味は何か。
それはスキルを得ることでも、成長を保証することでもありません。
自分の前提を疑えるようになること、そのための装置のように思えてきます。

そして、その「外」は必ずしも海外である必要はありません。

あなたにとっての「外」とは、どこでしょうか?


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xTalks Vol.36

外に出ることで、人生は動き出す

― 異文化体験がひらく「自己」と「選択肢」 ―


「外に出る」ことは、単なる移動や旅行ではなく、自分の当たり前を揺さぶり、人生の選択肢を広げる体験へ。

 バックパッカー経験や留学などの体験が、私たちの新たな気づきと選択肢を広げ、人生が生きやすく楽しくそして広がりを持たせるのか。

本イベントでは、バックパッカーとして世界を巡った経験と、幼少期からの海外生活・留学経験という異なる越境のかたちをもつ二人をお招きします。

偶発的で身体的な越境と、環境としての越境。 一見異なる二つの経験の掛け合わせから、外を出ることで何が見えるのか それはどのような学びとして蓄積されるのか そして、その学びは将来の選択肢にどう影響するのか

あらためて今、「外に出る」ことの意味を徹底議論します。

●こんな方にオススメ

海外経験や留学に興味はあるが、一歩踏み出す意味を言語化できていない方

今の生活や価値観を少し広げてみたい方

異文化体験を通して見える新たな自分に関心がある方

将来の選択肢を広げたいと考えている方

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日時:5月8日(金) 18:00~20:30 場所:Zoom開催

話題提供:

①山本 一貴 さん(玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科OB) 「つまらないなら外にでろ!-ノリと勢いが広げる人生-」

②原 洋平 先生(玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科) 「外に出て、初めて見えるもの― 解き放たれる自己と意識される日本 ―」

2026年4月11日土曜日

xTalks Vol.35 テーマ:AI時代のウェルビーイング・ツーリズム ―地域を元気にする「新しい旅」のつくり方―

Vol.35のレポートは、工学部の小酒井が担当します。
今回ばかりは、個人的な「想い」からスタートさせてください。

「旅に出ると健康になる」

いきなりそんな話を聞くと、少し疑いたくなりますよね?
でも、最近よく聞くようになりました。私だけでしょうか?

温泉に入って、地元の美味しいものを食べて、自然の中を歩く。

たしかに良き。
むしろ、だいたいの人はゴキゲンになるでしょう。

でも、それはそう簡単に、持続可能なゴキゲン状態=Well-beingが高い状態に繋がるのでしょうか?

しかも、それをどこでも再現可能なモデルとして設計できるのか。

さらに、その問いを今回のテーマに繋げてみます。

山口県で生まれつつあるウェルビーイング・ツーリズムは、秋田県でも成立するのか。

今回のVol.35は、私個人としては、この少し無茶な問いを、あえて真正面から扱ってみる回でした。

そして正直に言うと、もう一つ狙いがありました。
今回の話が出てきたのは、2026年1月の新年会のとき。
そのときから、ずっと頭に引っかかっていたことがあります。

「これ、うちの研究室が巻き込まれそうだな。。。。で、マジでできるのか?」

山口県での事例は、とても面白そうだ。
秋田県でやろうとしていることも、確かに筋は通っている。
ただ、それを「自分たちがやる側」に回った瞬間、話は別。

①学生が関わって成立するのか?→本学の学生さんたちなら、きっとできる。

②地域は受け入れてくれるのか?→これまで私が築いてきたネットワークなら、きっとできる。

③本当に回るのか?→ここが一番ヤバい。正直よく分からない。

少し引いた位置から見れば「面白い話」で済むものが、一歩踏み込むと、途端に「心配」になる。

それでもなお、「ちょっとやってみたい」と思ってしまう自分。

むしろ、その「心配」を振り払い、やってみながら考え、最後までやりきる執念こそが、本学のESTEAM教育に必要なのだろうと思います。

だからこそ今回は、仲間が欲しい。喉から手が出るくらい欲しい。

現実的な意味合いもあって、「できる前提で語る」のではなく、「やるかもしれない前提で疑いながら、一緒に進めてみませんか?」というスタンスで臨みました。


まずは1つめの話題提供。
須原誠さんによる「エストニア風ヤマグチ:ウェルビーイングと旅の融合」


在日本エストニア全権大使補佐官という経験を持つ須原さんだからこそ、IT要素を織り込んだ“エストニア風”のヤマグチモデルが提示されました。

医療データ、運動、食事、睡眠。
それらを統合し、「健康になるプロセス」そのものを地域に組み込む。
まさに、山口に住む人々のウェルビーイングを「設計対象」にする試みです。

この中で、参加者の空気が一変した一言があります。

「病院にあるのは健康データではなく“不健康データ”」

言われてみれば当たり前ですが、この一言で前提がひっくり返ります。

そもそも、ウェルビーイングが高い状態とは「健康な状態」です。

医療との結びつきを再設計しなければならないことが、非常によく分かる指摘でした。

さらにもう一つ。

「データ連携ができないのは、そもそも仲良くないから」

これも本質を突いています。

つまりこのモデルは、テクノロジーの話をしているようで、実はかなり人間関係の話をしている。

タイトルである「AI時代のウェルビーイング・ツーリズム」は、きっと人間関係の壁を乗り越えなければ実現できない

「人が動かなければ成立しない」のです。

そして問題は、これをどの地域でも再現できるのか、という点にあります。
でも、それをやるのが、これからの私たちSTREAM Styleチームの仕事でもあります。

さて、いつも通り、ここでLightningTalk(LT)のコーナーで、異なる視点からのノイズをいれました。

LTの1つめは運営メンバーでもある濵田英毅先生。
鎌倉街道をロングトレールとして再生し、地域の歴史資源をつなぎ直す構想が紹介されました。実現のためには、行政の壁を取っ払う必要性があるとのこと。
まさにその通りですね。


2つめは、東洋メディアリンクスの北澤謙二さんだったんですが、体調不良でお休みでしたので、代わりに小酒井から、東洋メディアリンクスさんが目指す新しい構想について紹介しておきました。これはそのうち別の形で話題提供されそうです。

さて、2つめの話題提供。
「秋田はコレがある!:本物のウェルビーイングと出会う旅」
本来は木村朱門さん(株式会社Heliex)のご登壇予定でしたが、体調不良のため、須原さんが続けて担当されました。


ヤマグチモデルを秋田に導入する。

きっと、すんなりとはいかないチャレンジです。
理由はシンプル。
条件が違いすぎるから。

私が約10年関わって学ばせてもらった秋田県は、「良いものはありすぎるくらいあるが、つながっていない状態」です。

この状況に対して提示されたのが、健康から逆算する旅の設計。
ステークホルダーは、観光客だけではありません。
地元住民、企業、観光協会、行政。
さらには文化や歴史そのものも含まれます。

だからこそ、安易に観光から入るのではなく、健康・食・生活・アクティビティを軸にすることで、結果的に「訪れる理由」を設計していく必要があります。

では、成立条件は何か?

それを探るために、参加者の皆さんに知恵を借りました。


そこでテーブル座談会のテーマは、「ウェルビーイングを高める旅は、どう設計できるか?」

4つの視点から議論していただきました。
① 誰のウェルビーイングを高めるのか
② どんな体験を設計するのか
③ それを支える仕組みは何か
④ 地域にどんな価値が循環するのか

妄想力の勝負です。xTalksの参加者にはピッタリ😆


議論を通じて見えてきたポイントは、次の3つです。

① 主観的健康が超重要
「なんか調子いい」がかなり重要。だからこそ、観光との相性は抜群。

② テクノロジーは補助
AIやデータだけでは回らない。つまり、工学だけでは完結しないモデル。

③ よそ者が価値を見つける
よそ者が、地元の人たちが価値に気づき、産業へと繋げるための着火剤になる。

テーブル座談会の議論の中身は、いつも通りかなり自由で「雑」。
でも、「それやってみたいかも」が多く生まれました。


この「雑さ」は重要です。
完成度よりも、関与したくなるかどうかの方が、この段階では価値が高い。

ヤマグチモデルは、秋田にオマージュできるのか。
正直、まだ分からないことばかり。

ただ一つ言えるのは、
もし少しでも引っかかったなら、たぶんそれ、もう半分巻き込まれてます😆

次は、秋田県の現場で一緒にやりましょう。
よろしくお願いいたします!!🙇🙇🙇


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xTalks Vol.35
AI時代のウェルビーイング・ツーリズム
―地域を元気にする「新しい旅」のつくり方―

「旅」は、単なる移動から「自己と地域をアップデートする体験」へ。

テクノロジーとデータの活用は、私たちの健康や能力をどのように最大化し、いかにして地域経済を循環させる動力に変えていくのか。

本イベントでは、循環型社会とシステムデザインの専門家である須原誠氏(青山学院大学)と、ヘルスケアテックの力で人々のパフォーマンス向上を支援する医療スタートアップ、株式会社Heliex木村朱門代表をお招きします。

社会の最適化を目指すSDGsの視点と個人の最適化を追求するヘルスケア・ウェルネスの知見。

山口県での成功事例と秋田県での新たな挑戦。

一見異なるフィールドにいる二人の掛け合わせから、これからの地域活性化の鍵となる「新しい旅のつくり方」を徹底議論します。

●こんな方にオススメ

・AI・データ活用による地域創生や観光モデルの転換に関心がある方
・ウェルビーイングをビジネスの視点から紐解きたい方
・テクノロジーを活かした「新しい社会実装」のヒントを探している方

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日時:4月10日(金) 18:00~20:30
場所:玉川大学STREAM Hall 2019 アカデミックスクエア(1-2F)

話題提供:
①須原誠さん(青山学院大学SDGs/CE研究所
「エストニア風ヤマグチ:ウェルビーイングと旅の融合」

②木村朱門さん(株式会社Heliex
「秋田はコレがある!:本物のウェルビーイングと出会う旅」


2026年3月9日月曜日

xTalks Vol.34 テーマ:メタバースの中で3Dクリエイターの「思考の深め方」を理解する ―どのような体験価値を提供したいのか―

運営の教育学部・濵田です。今回の企画は、Vol.13以来、久々にメタバースでの実施です。

みなさんはメタバース空間について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。アバターを介していつでも誰でも自由に滞在できる“居心地の良さ”は、メタバース空間特有のものといえるでしょう。しかし、“居心地の良さ”を超える「体験価値」が明らかでないと、なかなか積極的にメタバースを活用しよう、とまでには至らないのも事実です。我々の考えていた課題は、まさにこの点にあります。 

そこで、今回のxTalksは3Dクリエイターとメタバース空間提供者のお二人をお招きし、話題提供をしていただくだけでなく、実際にさまざまなワールドへ訪問し、メタバース空間の「体験価値」を直感的・体感的に理解できるイベントにしました。いつものxTalksメンバーだけでなく、メタバース空間を日常的に楽しむcluster民にも多く集まっていただき、のべ参加者数311人(常時40名超)の大入り満員となりました。



最初の話題提供は、数々の受賞経験に輝く3Dクリエイター 兼 青翔開智中学・高等学校の社会科教師でもある池田夏暉(アフロッティ)先生。なぜメタバース空間に教育コンテンツを作るのか、制作の目的や制作に至るまでの思考の深め方について、具体的にご説明いただきました。

池田先生がもっと重視するコンセプトは、勉強を受け身でなく能動的にする、ということです。メタバース空間を活用するカギは、「視点の転換、身体性、社会性(他者視点取得)」という体験価値の3要素をうまく取り入れながら、新しい体験を生み出すこと。そうすれば、能動的な学びの空間を創出できるとのお話でした。たしかに写真や動画では、特定の画角(視点)でしかとらえることが出来ません。しかし、メタバース空間だと一人ひとりが自分自身で見る画角(視点)を選ぶことが出来ます。また、自分自身の手で、そこでアクションを起こすことが出来ます。だからこそメタバース空間では様々な“気づき”が生まれやすい、というわけです。実際に、能登半島ワールドや縄文ワールド、大森貝塚ワールド等にご招待いただき、参加者一同で体験することで、メタバース空間の「体験価値」を実感することが出来ました。


 たとえば地形の学びであれば、「ここ変わってない?」「隆起しているね」などの“気づき”が豊富に生まれます。一人ひとりが異なる“気づき”を得ることができ、そして、“気づき”を交流させることでさらに学びは深まります。考えながら動くようなワールドを設計することの重要性が、たいへんよく理解できました。

続いて、クラスター株式会社Creators Guide担当の福田晃司(FUKUDA)様に、プラットフォーム側として考える「体験価値」の設計についてお話しいただきました。メタバース空間は「体験(=人がどう感じるか)」が重要で、そのコンセプトは「長時間いたくなる空間」「楽しくなる空間」「学ぶための空間」などさまざま。無限の選択肢があります。だからこそ、「目的に特化した3D空間」を創ることが重要、とのご指摘です。

現実空間は汎用的に、メタバース空間は特化的にという考え方は、メタバース空間を使いこなすキーコンセプトかもしれません。だからこそ、我々はメタバース空間でできることを整理することが必要です。メタバース空間だからこそでき、現実では難しいこととは何でしょうか?たとえば、ゲームはリセットできるが人生はリセットできないという批判がありますが、それは裏を返せばメタバース空間の強みとして読み替えることも可能でしょう。 



ただし、メタバース空間では様々な人が様々な視点を持つことができるからこそ、体験にブレが生じがちです。クリエイターは、そのワールドで本来やってほしい体験に、参加者をうまく誘導できなければなりません。メタバース空間での体験を適切に設計することが重要なのです。クリエイターは、体験の導線としての空間設計について、真剣に検討する必要があります。細かい要素としてはモデリング、ライティング、ギミック、エフェクト、音響等も使いこなす必要が出てきます。

また、メタバース空間での体験を通して“観察”する意識が高まるとのご指摘も、たいへん勉強になりました。現実空間では当たり前のものと見過ごすようなことも、メタバース空間にあると、もの凄く考えるきっかけにもなります。こうして高まった“観察”の意識は、現実空間で“観察”する意識にもつながってゆく。現実空間での体験を深めるという点も、メタバース空間での「体験価値」といえるのではないかという発想は、私にとってたいへん新鮮なものでした。




今回のxTalksでは、3Dクリエイター、そしてプラットフォーム提供者がメタバース空間に寄せる思いが実に具体的、かつ強いものであると理解できました。そしてもちろん、メタバース空間に集う人々の思いもまた同様であるということを。メタバース空間は自分自身で作り出すことが出来る。その創り出す体験が、自分自身で行動し、世界を変えていく出発点にもなる。また、バーチャルで見るだけでは満足し切れなくなって、リアルの現実の世界で本物を見に行くきっかけが生まれる。こうした側面からメタバース空間の体験価値をとらえ直してみると、あなたの人生にも豊かな広がりが生み出されるかもしれません。

最後に、cluster民の皆さんからご紹介を受けた様々なワールドのURLを記しておきます。どうぞお楽しみください。

https://cluster.mu/w/ae5e1f8a-cb55-49f6-b73a-b2a98077e218

https://cluster.mu/w/0e2b3a89-5b14-4f59-ad41-d2bada1f4414

https://cluster.mu/w/52d8c1b7-6bb2-47f4-89aa-778791668f87

https://cluster.mu/w/2e41654f-1c08-4724-ae3e-1d1d85a16353

https://cluster.mu/w/7476324f-51f8-465a-99b9-6ddea147293a

https://cluster.mu/e/8854e988-ce9a-404e-8608-837ff0097c23

https://cluster.mu/e/8854e988-ce9a-404e-8608-837ff0097c23/journals

https://cluster.mu/w/b9c18264-590e-4cea-bc3d-30e7a998bff5

https://cluster.mu/w/9d0a81b9-f6dd-4bc5-b8dc-801ab1e82d71


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xTalks Vol.34
メタバースの中で3Dクリエイターの「思考の深め方」を理解する
―どのような体験価値を提供したいのか―

ICTの中で3D空間を体験できるメタバース。 なにかすごいことが出来そう!と思う一方で、 そこにどのような体験価値があるのか、はっきりとつかめている人は少ないかもしれません。
実は、単に操作することが楽しい!ということを、3Dクリエイターは狙っていません。 その背後には、システム思考・デザイン思考・アート思考と称されるような、意図が明確な、そしてものすごく緻密な設計があるのです。
今回、メタバースの最前線でクリエイトし続けているお二人をお呼びします。 clusterの中で、メタバースに隠された真の意図、真の体験価値を実感しましょう。

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日時:3月6日(金) 18:00~20:00
場所:cluster

※参加の方法 事前に、下記のURLから、clusterのアプリをダウンロードし、参加してください。 Windows PC, Mac OS, Android, iOSでOKです。
https://cluster.mu/downloads

話題提供:
①池田夏暉先生(青翔開智中学校・高等学校)
『メタバース空間の価値を生かした教育を考える』
(参考記事)【祝】令和6年度学習デジタル教材コンクールにて日本教育新聞社賞を受賞 | 新着情報 | 青翔開智中学校・高等学校
https://seishokaichi.jp/news/post-19121/

②福田晃司さん(クラスター株式会社)
『「体験」を深めるものとしてのバーチャル空間』
https://corp.cluster.mu/


2025年12月26日金曜日

xTalks Vol.33  テーマ:玉川ブランドのお酒をつくろう! — 醸造と購買のプロと描く“玉川のお酒”の未来 —

 こんにちは!玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科の石川優理と申します。小酒井先生のゼミ生です。今回はxTalksの参加者として私がレポートを担当します。どうぞよろしくお願いいたします!!

今回のテーマは「玉川ブランドのお酒をつくろう!醸造と購買のプロと描く”玉川のお酒”の未来」でした。初めに、話題提供として、玉川大学農学部先端食農学科の佐々木先生より、日本酒を中心とした酒類の歴史や製造、そして酒類業界の現状と今後の課題について話してくださいました。 「お酒とは発酵物である」という基本的な考えから始まり、日本を含むアジア圏で古くから発酵食品が生活に根付いてきたことが紹介されました。日本酒は戦国時代から江戸時代にかけて一般庶民にも広がり、江戸時代にはまだ「菌」という概念がない中でも、人々が経験的に発酵の仕組みに気づき、酒造りを行っていたことが印象に残りました。明治時代以降は近代化が進み、清酒製造が科学的・体系的に発展していったとのことでした。

続いて、清酒製造の流れについて詳しい説明がありました。玄米を精米して白米にし、浸漬・蒸しの工程を経て蒸米を作り、麴菌による製麹、酒母の製造、そして蒸米・麹・水を三段階で仕込む「三段仕込み」によってもろみを作るという、日本酒特有の複雑な発酵工程より私の好きなお酒が造られているのだと学びました。アルコールを添加しない純米酒や純米吟醸酒といった種類の存在からも、日本酒の多様性を感じました。また、日本酒の種類について、吟醸酒、純米酒、純米吟醸、本醸造酒、普通酒などが紹介され、それぞれ香りや味わい、価格帯に特徴があることが説明されました。吟醸酒にはメロンやリンゴのような華やかな香りを持つものもあるというお話がとても印象的で、今度探してみたいと思います。

後半では、酒類業界の現状と課題について触れられました。国内需要は減少傾向にあり、単価の安い商品の消費は減っている一方で、高価格帯の商品は必ずしも減っていないことから、今後は「商品の差別化」や「高付加価値帯」が重要であると指摘されました。事例として、獺祭で有名な旭酒造の取り組みが紹介され、精米歩合を大幅に下げた超高級志向の商品開発や、他社には真似できないブランド構築によって成功してきた点が印象に残りました。また、日本酒の海外市場について、100兆円規模とも言われる世界市場に対して、日本酒はまだ0.1%にも満たないという現状を知りました。 さらに、酒造業界では蔵元の高齢化や後継者不足といった人材面の課題も深刻であり、AIやデータを活用した酒造りの重要性についても言及がありました。分析の事例などより、職人の勘に頼る酒造りから、データに基づく新たな酒造りへの移行の可能性を学ぶことができました。

途中のLTでは、倉橋さん、濱田さん、徳永さんからそれぞれ短時間ながらも豊富な情報提供をしてもらい、異なる立場や経験からの視点を知ることができました。一つのテーマでも、立場が変わることで捉え方が大きく異なることを実感しました。後ほどの座談会につながる話も多くありました。

話題提供者の二人目として、玉川大学購買部の中村課長より、「届ける側」の視点からのお話をしてくださいました。お酒を作るだけでなく、誰に、どのように届けるかという視点の重要性を改めて考える機会となり、玉川ブランドとしての価値をどのように伝えていくかについて深く考えさせられました。

最後に、後半のテーブル座談会では、「玉川ブランドのお酒」をどのような形で展開できるかについて、参加者同士で自由に意見を出し合いました。お酒そのものの案としては、果物原酒を使ったお酒や、葡萄酒などを用いた甘みのある酒、玉川で取れたポンカンやトマトといった身近な素材を使ったお酒などが挙げられました。学内で収穫された素材を使用することで、玉川らしさやストーリー性を持たせることができるのではないかという意見でした。 また、倉橋さんより微細藻類を活用したお酒というアイデアも出され、環境や持続可能性の観点からも、玉川大学らしい新しい取り組みになるのではないかという声がありました。これについては、いくらのような粒であり、いろいろな色にできるとのことでした。とてもきれいなお酒ができ、食感として海ブドウのような感じらしいので、できた際には是非味わってみたいと思いました。

さらに、ノンアルコールや低アルコールという視点も多く出ました。文化祭などのイベントでも提供できることや、子供やお酒を飲めない人も楽しめる商品があれば、より幅広い層に玉川ブランドを知ってもらえるのではないかという意見でした。その他に、玉川らしさを大事にした商品づくりとして、イエローコスモスをモチーフにしたお酒や、購買部で気軽に購入できる商品開発なども話題に上がりました。

以上より、今回のxTalksを通して、酒造りは単なる製造技術ではなく、歴史・文化・経営・流通・技術と複雑に結びついた総合的な取り組みであることを学びました。また、異なる分野の専門家や参加者と意見を交わすことで、多角的に物事を考えることの大切さを改めて実感しました。

お話ししてくださった皆さん、そしてこのような貴重な機会を設けてくださった関係者の皆様、本当にありがとうございました。また、お話できたらとても嬉しく思います!!次回のxTalksも楽しみにしています!!



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xTalks Vol.33 
玉川ブランドのお酒をつくろう!
— 醸造と購買のプロと描く“玉川のお酒”の未来 —

「もし玉川大学が“自分たちのブランドのお酒”をつくったら、何ができる?どんなお酒があったらうれしい?」

そんな素朴な問いから、大学発の価値創造を一緒に考えてみようという企画です。

今回のVol.33では、農学部の佐々木慧先生(発酵工学) に、原料・醸造方法・香り・法律的な縛りなど、“大学で作りうるお酒のリアル”を専門的にご紹介いただきます。

さらに、購買部課長・中村亨氏 に、キャンパスブランド商品の売れ方、学生・教職員・OB/OG の嗜好、そして購買動向といった“現場の視点”を共有いただきます。

醸造の専門知と、キャンパスブランド商品の現場知。

この二つが交わると、玉川大学らしい“ストーリーのあるお酒”が見えてくると思いませんか?玉川大学ならではのブランド創造の可能性に迫ります。

お酒に詳しくなくても大歓迎。

ブランド戦略・商品企画・大学発プロダクトに興味がある方は、ぜひご参加ください。
今回も、xTalksならではのゆるくて濃い議論を楽しみましょう。

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日時:2025年12月12日(金)  18:00-20:30
場所:Zoom
話題提供:

①佐々木慧先生(玉川大学 農学部 先端食農学科)
https://yumenavi.info/vue/lecture.html?gnkcd=g013182

②中村亨さん(玉川学園 購買部)
https://tamagawa-cs.jp/

2025年11月11日火曜日

xTalks Vol.32 コスモス祭スペシャル テーマ:Minecraft Education × 教育現場 — 学校現場での実践を体験する

工学部の小酒井です。
今回のxTalksは、コスモス祭スペシャルとして開催いたしました。

小学校の先生方、玉川大学OG、大学の同僚、そしてご家族まで、幅広い参加者がいらっしゃいました。本当に多くの方々に支えられて、このイベントが成立していたのだと、帰り道でじわじわと実感しました。

準備段階から印象的だったのは、宮内先生×鈴谷先生による神業的な連携。
そして、新井先生の司会運びの見事さ。

「マイクラ教育版」は、とにかく“すごい”。

天野先生が語った「心理的安全性」のお話には、驚くほどの“愛”があり、佐藤先生の「特別支援教育」の視点も深く胸に残りました。
小口先生が「なぜマイクラが教育現場で有効なのか」を語った説明も、腑に落ちる内容で、

どの言葉にも“現場で生まれたリアルな知”がありました。
現場から発せられた言葉は、すべてが愛に満ち、示唆に富んでいたと思います。

今回特に盛り上がったのが、Minecraft Educationの体験会。
子どもも大人も、思い思いにブロックを積み上げ、好きな世界を自由につくりあげていました。
「学ぶ」と「遊ぶ」が自然に混ざり合い、それぞれが自分のペースで試行錯誤する姿が印象的でした。

また、マルチプレーヤーでの協働体験も新鮮でした。画面の向こうで子どもたちが声をかけ合いながら、建築を進めていく姿には、創造性とチームワークの力を感じました。
笑顔と発見が絶えない空間だったなと思います。

このような大盛り上がりの舞台裏を支えてくれた岩野先生、蕗澤先生たちの瞬発力あるサポートは、まさに歴戦の勇者のようでした。
濵田先生もお忙しい中、駆けつけていただき、本当にありがとうございました。

そして、学生スタッフの石川さん、美咲さん。
当日のサポート、本当に助かりました。本当にありがとうございます。

関わってくださったすべての皆さまに、心から感謝いたします。
至らぬ点も多々あったかと思いますが、どうぞご容赦ください。

そして最後に、玉川大学工学部OGとしてこの企画をコーディネートしてくださった新井弓翔先生に、改めて深く感謝を申し上げます。

またここから、少しずつ、新しい景色を広げていきましょう。


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xTalks Vol.32 コスモス祭スペシャル
テーマ:Minecraft Education × 教育現場 — 学校現場での実践を体験する

21世紀型スキルの育成に向け、世界中で導入が進む「Minecraft Education」。 日本でもプログラミング教育、協働学習、探究学習など多様な授業に活用されています。

本企画では、実際に教育現場でMinecraft Educationを用いた授業を実践する先生方をお招きし、学生が体験型セミナーを通じて「学びのデザイン」を肌で感じるイベントにしたいと思います。特に教職を志す学生にとって、ICTを活用した授業設計の可能性を理解し、自らの教育観に取り込む貴重な機会となるはずです。

日時:2025年11月9日(日)  13:00-15:30(16:00くらいまで自主的な延長ありの予定)
場所:玉川大学 大学教育棟2014 6階 521教室(最寄り駅:小田急線 玉川学園前駅)
対象: 教職課程履修者・教育に関心のある学生、学内外の教育関係者(学祭中なので、誰でも参加可能です)
定員: 40名

主催: 玉川大学 STREAM Style 企画運営委員会 協力: さいたま市MELC(Microsoft Educator Local Community)、NPO法人タイプティー

●当日スケジュール

12:30 開場 13:00 イベント開始(全体司会:新井先生)
          開催のご挨拶(玉川大学工学部:小酒井正和)

13:05 実践報告
  新井 弓翔 先生
  天野 翔太 先生
  小口 稚聡 先生
  鈴谷 大輔 先生
  佐藤 裕理 先生
  宮内 智 先生

13:35 Minecraft Education体験(進行:宮内先生)
  ①マイクラ操作体験
  ②マイクラマルチ体験
  ③豆腐建築
  ④makecode

15:00 成果物共有(進行:新井先生、宮内先生、鈴谷先生)

15:25 まとめ(アンケート記入)

15:30 イベント終了

2025年10月17日金曜日

xTalks Vol.31 テーマ:ゼロから考える校務DX-データと人がつなぐ未来像-

xTalks Vol.31では、「教育DX」「ゼロトラスト」「データ活用」をテーマに、学校現場・行政・大学がそれぞれの立場から本音で語り合いました。
堅いテーマと思いきや、会場には笑いと共感があふれ、まさに“人間中心のDX”を体現する回となりました。

一人目は、大阪府教育庁のネットワーク刷新プロジェクトを率いた大堀さんです。
従来の“領域分離型”校務ネットワークでは、インターネット接続できるモードと成績処理など機微な情報を扱うモードが分かれ、教員は何度もログインし直す非効率な環境にあったそうです。
その課題を解消するため導入されたのが、「ゼロトラストネットワーク」。
「何も信頼しない」を原則に、すべての通信とアクセスを検証するセキュリティモデルで、クラウド化・無線化を進めることでどこでも安全に働ける環境を実現しました。

ゼロトラストとは、ただセキュリティを強化したという話ではく、先生たちが効率的に仕事を進められるよう支援することなんです、というのがすごく心に刺さりました。

たしかに、“信頼しない”という前提は、逆説的に“人を信頼する”ことにつながるんだというのはそのとおりだと思います。

また、私としては、初期費用の高さを「6年間の運用でのコスト削減」で説得し、予算を確保したというエピソードは、理想と現実をつなぐ現場発のDXモデルとして最高の考え方、説得の仕方だと思いました。
これは説明される側の経営センスが問われますね。

二人目の登壇者は、玉川学園・玉川大学の情報基盤整備を担当する岩澤さんです。
大規模な学校法人におけるの“現場の声”を届けました。

玉川学園では、K-12(幼・小・中・高)は Google Workspace ベースの「CHaT Net」、大学で Microsoft365、UNITAMA(校務システム)+Blackboard(LMS)という、まったく異なるシステムが併存しています。
岩澤さんが、その橋渡し役として導入したのがクラウドストレージ Boxです。
このBoxを、異なるプラットフォーム間の“断絶”をつなぐ共有ハブとして機能させたいという構想だそうです。

岩澤さんの話は、単なる技術解説にとどまりらず、鋭い考察をされていました。
生徒のデータは蓄積されているのに、活用されていないこと。とくに学籍の断絶が“教育の断絶”になっているというのが大きな課題なのだということがわかりました。

学籍番号が小学校から大学まで統一されておらず、20年分の学びのデータを一気通貫で追えない構造的課題があるわけです。
私としてはやはり、システム連携の前に、人の連携が必要だなって本当に思いました。
岩澤さんの報告は、玉川学園という“教育の縮図”を通して、日本の教育データ基盤が抱える本質的な問題を鋭く浮かび上がらせるものだったのではないかと思います。

LT(ライトニングトーク)では、教育やDXをめぐる多様な現場の実践が紹介されました。
先生がどこで働くかを選べることこそ、働き方改革という教職員の視点
学生による防災ボランティア活動をSharePointで運営し、情報共有を改善した大学生の挑戦
日本酒づくりにAIと統計解析を導入し、「データを読むのはAIではなく人間」と語った醸造の現場の未来
小さなDXが、確かに人の働き方や学び方を変えつつあることを実感できる時間となりました。

総括すると、Vol.31のテーマ「ゼロから始める校務DX」は、単なるシステム導入の話ではありませんでした。
大堀さんの「セキュリティが働き方を支援する未来」と、岩澤さんの「人とデータがつながるDX構想」。
両者が示したのは、“人を中心に据えたDX”の原点だったと思います。
それもあって、テーブル座談会もそれぞれのグループで多様な盛り上がりがあったようです。

DXとは、データやシステムではなく、人と人とをつなぐ仕組みをつくること。
今回のxTalksは、その原点を改めて思い出させてくれる回となりました。




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xTalks Vol.31
テーマ:ゼロから考える校務DX-データと人がつなぐ未来像-

「校務DXは“働きやすさ”と“学びやすさ”を両立できるか?」
学校現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なる業務効率化にとどまらず、教育の質や学園のあり方そのものを根本から変える力を持っています。成績や出欠といったデータの活用はもちろん、部門を越えた情報共有、セキュリティと利便性の両立、そして教職員や学生がもっと自由に動ける環境づくりへとつながっていきます。

今回のxTalksでは、こうした「校務DX」をゼロから捉え直し、データと人がどうつながれば未来の玉川学園・玉川大学のビジョンが描けるのかをテーマに、多様な立場の参加者とともに議論を深めます。現場の工夫や行政の取り組みを学びながら、「わたしたちにとって理想の校務DXとは何か」を一緒に考える時間としたいと思います。

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日時:2025年10月17日(金) 18:00-20:30
場所:Zoom

話題提供:
①大堀順平 さん(大阪府教育庁 教育総務企画課)
「ゼロトラストを踏まえた情報基盤の整備とその意義」
https://reseed.resemom.jp/article/2025/06/30/11203.html

②岩澤孝徳 さん(玉川学園 総務部 情報基盤システム課)
「総合学園の情報基盤・データ連携の現状と課題」

xTalks Vol.37 テーマ:xTalks Vol.37 回復をデザインせよ ― 戦略的に休むための実践とテクノロジー ―

「休んでください。」 私たちはそう言われることには慣れています。 疲れたら休みなさい。 無理をするな。 有給を取りなさい。 けれども、不思議なことがあります。 私はこれまで何度も「休め」と言われてきましたが、「回復しなさい」と言われた記憶がほとんどありません。 そもそも、 休む ...