2026年3月9日月曜日

xTalks Vol.34 テーマ:メタバースの中で3Dクリエイターの「思考の深め方」を理解する ―どのような体験価値を提供したいのか―

運営の教育学部・濵田です。今回の企画は、Vol.13以来、久々にメタバースでの実施です。

みなさんはメタバース空間について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。アバターを介していつでも誰でも自由に滞在できる“居心地の良さ”は、メタバース空間特有のものといえるでしょう。しかし、“居心地の良さ”を超える「体験価値」が明らかでないと、なかなか積極的にメタバースを活用しよう、とまでには至らないのも事実です。我々の考えていた課題は、まさにこの点にあります。 

そこで、今回のxTalksは3Dクリエイターとメタバース空間提供者のお二人をお招きし、話題提供をしていただくだけでなく、実際にさまざまなワールドへ訪問し、メタバース空間の「体験価値」を直感的・体感的に理解できるイベントにしました。いつものxTalksメンバーだけでなく、メタバース空間を日常的に楽しむcluster民にも多く集まっていただき、のべ参加者数311人(常時40名超)の大入り満員となりました。



最初の話題提供は、数々の受賞経験に輝く3Dクリエイター 兼 青翔開智中学・高等学校の社会科教師でもある池田夏暉(アフロッティ)先生。なぜメタバース空間に教育コンテンツを作るのか、制作の目的や制作に至るまでの思考の深め方について、具体的にご説明いただきました。

池田先生がもっと重視するコンセプトは、勉強を受け身でなく能動的にする、ということです。メタバース空間を活用するカギは、「視点の転換、身体性、社会性(他者視点取得)」という体験価値の3要素をうまく取り入れながら、新しい体験を生み出すこと。そうすれば、能動的な学びの空間を創出できるとのお話でした。たしかに写真や動画では、特定の画角(視点)でしかとらえることが出来ません。しかし、メタバース空間だと一人ひとりが自分自身で見る画角(視点)を選ぶことが出来ます。また、自分自身の手で、そこでアクションを起こすことが出来ます。だからこそメタバース空間では様々な“気づき”が生まれやすい、というわけです。実際に、能登半島ワールドや縄文ワールド、大森貝塚ワールド等にご招待いただき、参加者一同で体験することで、メタバース空間の「体験価値」を実感することが出来ました。


 たとえば地形の学びであれば、「ここ変わってない?」「隆起しているね」などの“気づき”が豊富に生まれます。一人ひとりが異なる“気づき”を得ることができ、そして、“気づき”を交流させることでさらに学びは深まります。考えながら動くようなワールドを設計することの重要性が、たいへんよく理解できました。

続いて、クラスター株式会社Creators Guide担当の福田晃司(FUKUDA)様に、プラットフォーム側として考える「体験価値」の設計についてお話しいただきました。メタバース空間は「体験(=人がどう感じるか)」が重要で、そのコンセプトは「長時間いたくなる空間」「楽しくなる空間」「学ぶための空間」などさまざま。無限の選択肢があります。だからこそ、「目的に特化した3D空間」を創ることが重要、とのご指摘です。

現実空間は汎用的に、メタバース空間は特化的にという考え方は、メタバース空間を使いこなすキーコンセプトかもしれません。だからこそ、我々はメタバース空間でできることを整理することが必要です。メタバース空間だからこそでき、現実では難しいこととは何でしょうか?たとえば、ゲームはリセットできるが人生はリセットできないという批判がありますが、それは裏を返せばメタバース空間の強みとして読み替えることも可能でしょう。 



ただし、メタバース空間では様々な人が様々な視点を持つことができるからこそ、体験にブレが生じがちです。クリエイターは、そのワールドで本来やってほしい体験に、参加者をうまく誘導できなければなりません。メタバース空間での体験を適切に設計することが重要なのです。クリエイターは、体験の導線としての空間設計について、真剣に検討する必要があります。細かい要素としてはモデリング、ライティング、ギミック、エフェクト、音響等も使いこなす必要が出てきます。

また、メタバース空間での体験を通して“観察”する意識が高まるとのご指摘も、たいへん勉強になりました。現実空間では当たり前のものと見過ごすようなことも、メタバース空間にあると、もの凄く考えるきっかけにもなります。こうして高まった“観察”の意識は、現実空間で“観察”する意識にもつながってゆく。現実空間での体験を深めるという点も、メタバース空間での「体験価値」といえるのではないかという発想は、私にとってたいへん新鮮なものでした。




今回のxTalksでは、3Dクリエイター、そしてプラットフォーム提供者がメタバース空間に寄せる思いが実に具体的、かつ強いものであると理解できました。そしてもちろん、メタバース空間に集う人々の思いもまた同様であるということを。メタバース空間は自分自身で作り出すことが出来る。その創り出す体験が、自分自身で行動し、世界を変えていく出発点にもなる。また、バーチャルで見るだけでは満足し切れなくなって、リアルの現実の世界で本物を見に行くきっかけが生まれる。こうした側面からメタバース空間の体験価値をとらえ直してみると、あなたの人生にも豊かな広がりが生み出されるかもしれません。

最後に、cluster民の皆さんからご紹介を受けた様々なワールドのURLを記しておきます。どうぞお楽しみください。

https://cluster.mu/w/ae5e1f8a-cb55-49f6-b73a-b2a98077e218

https://cluster.mu/w/0e2b3a89-5b14-4f59-ad41-d2bada1f4414

https://cluster.mu/w/52d8c1b7-6bb2-47f4-89aa-778791668f87

https://cluster.mu/w/2e41654f-1c08-4724-ae3e-1d1d85a16353

https://cluster.mu/w/7476324f-51f8-465a-99b9-6ddea147293a

https://cluster.mu/e/8854e988-ce9a-404e-8608-837ff0097c23

https://cluster.mu/e/8854e988-ce9a-404e-8608-837ff0097c23/journals

https://cluster.mu/w/b9c18264-590e-4cea-bc3d-30e7a998bff5

https://cluster.mu/w/9d0a81b9-f6dd-4bc5-b8dc-801ab1e82d71


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xTalks Vol.34
メタバースの中で3Dクリエイターの「思考の深め方」を理解する
―どのような体験価値を提供したいのか―

ICTの中で3D空間を体験できるメタバース。 なにかすごいことが出来そう!と思う一方で、 そこにどのような体験価値があるのか、はっきりとつかめている人は少ないかもしれません。
実は、単に操作することが楽しい!ということを、3Dクリエイターは狙っていません。 その背後には、システム思考・デザイン思考・アート思考と称されるような、意図が明確な、そしてものすごく緻密な設計があるのです。
今回、メタバースの最前線でクリエイトし続けているお二人をお呼びします。 clusterの中で、メタバースに隠された真の意図、真の体験価値を実感しましょう。

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日時:3月6日(金) 18:00~20:00
場所:cluster

※参加の方法 事前に、下記のURLから、clusterのアプリをダウンロードし、参加してください。 Windows PC, Mac OS, Android, iOSでOKです。
https://cluster.mu/downloads

話題提供:
①池田夏暉先生(青翔開智中学校・高等学校)
『メタバース空間の価値を生かした教育を考える』
(参考記事)【祝】令和6年度学習デジタル教材コンクールにて日本教育新聞社賞を受賞 | 新着情報 | 青翔開智中学校・高等学校
https://seishokaichi.jp/news/post-19121/

②福田晃司さん(クラスター株式会社)
『「体験」を深めるものとしてのバーチャル空間』
https://corp.cluster.mu/


2025年12月26日金曜日

xTalks Vol.33  テーマ:玉川ブランドのお酒をつくろう! — 醸造と購買のプロと描く“玉川のお酒”の未来 —

 こんにちは!玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科の石川優理と申します。小酒井先生のゼミ生です。今回はxTalksの参加者として私がレポートを担当します。どうぞよろしくお願いいたします!!

今回のテーマは「玉川ブランドのお酒をつくろう!醸造と購買のプロと描く”玉川のお酒”の未来」でした。初めに、話題提供として、玉川大学農学部先端食農学科の佐々木先生より、日本酒を中心とした酒類の歴史や製造、そして酒類業界の現状と今後の課題について話してくださいました。 「お酒とは発酵物である」という基本的な考えから始まり、日本を含むアジア圏で古くから発酵食品が生活に根付いてきたことが紹介されました。日本酒は戦国時代から江戸時代にかけて一般庶民にも広がり、江戸時代にはまだ「菌」という概念がない中でも、人々が経験的に発酵の仕組みに気づき、酒造りを行っていたことが印象に残りました。明治時代以降は近代化が進み、清酒製造が科学的・体系的に発展していったとのことでした。

続いて、清酒製造の流れについて詳しい説明がありました。玄米を精米して白米にし、浸漬・蒸しの工程を経て蒸米を作り、麴菌による製麹、酒母の製造、そして蒸米・麹・水を三段階で仕込む「三段仕込み」によってもろみを作るという、日本酒特有の複雑な発酵工程より私の好きなお酒が造られているのだと学びました。アルコールを添加しない純米酒や純米吟醸酒といった種類の存在からも、日本酒の多様性を感じました。また、日本酒の種類について、吟醸酒、純米酒、純米吟醸、本醸造酒、普通酒などが紹介され、それぞれ香りや味わい、価格帯に特徴があることが説明されました。吟醸酒にはメロンやリンゴのような華やかな香りを持つものもあるというお話がとても印象的で、今度探してみたいと思います。

後半では、酒類業界の現状と課題について触れられました。国内需要は減少傾向にあり、単価の安い商品の消費は減っている一方で、高価格帯の商品は必ずしも減っていないことから、今後は「商品の差別化」や「高付加価値帯」が重要であると指摘されました。事例として、獺祭で有名な旭酒造の取り組みが紹介され、精米歩合を大幅に下げた超高級志向の商品開発や、他社には真似できないブランド構築によって成功してきた点が印象に残りました。また、日本酒の海外市場について、100兆円規模とも言われる世界市場に対して、日本酒はまだ0.1%にも満たないという現状を知りました。 さらに、酒造業界では蔵元の高齢化や後継者不足といった人材面の課題も深刻であり、AIやデータを活用した酒造りの重要性についても言及がありました。分析の事例などより、職人の勘に頼る酒造りから、データに基づく新たな酒造りへの移行の可能性を学ぶことができました。

途中のLTでは、倉橋さん、濱田さん、徳永さんからそれぞれ短時間ながらも豊富な情報提供をしてもらい、異なる立場や経験からの視点を知ることができました。一つのテーマでも、立場が変わることで捉え方が大きく異なることを実感しました。後ほどの座談会につながる話も多くありました。

話題提供者の二人目として、玉川大学購買部の中村課長より、「届ける側」の視点からのお話をしてくださいました。お酒を作るだけでなく、誰に、どのように届けるかという視点の重要性を改めて考える機会となり、玉川ブランドとしての価値をどのように伝えていくかについて深く考えさせられました。

最後に、後半のテーブル座談会では、「玉川ブランドのお酒」をどのような形で展開できるかについて、参加者同士で自由に意見を出し合いました。お酒そのものの案としては、果物原酒を使ったお酒や、葡萄酒などを用いた甘みのある酒、玉川で取れたポンカンやトマトといった身近な素材を使ったお酒などが挙げられました。学内で収穫された素材を使用することで、玉川らしさやストーリー性を持たせることができるのではないかという意見でした。 また、倉橋さんより微細藻類を活用したお酒というアイデアも出され、環境や持続可能性の観点からも、玉川大学らしい新しい取り組みになるのではないかという声がありました。これについては、いくらのような粒であり、いろいろな色にできるとのことでした。とてもきれいなお酒ができ、食感として海ブドウのような感じらしいので、できた際には是非味わってみたいと思いました。

さらに、ノンアルコールや低アルコールという視点も多く出ました。文化祭などのイベントでも提供できることや、子供やお酒を飲めない人も楽しめる商品があれば、より幅広い層に玉川ブランドを知ってもらえるのではないかという意見でした。その他に、玉川らしさを大事にした商品づくりとして、イエローコスモスをモチーフにしたお酒や、購買部で気軽に購入できる商品開発なども話題に上がりました。

以上より、今回のxTalksを通して、酒造りは単なる製造技術ではなく、歴史・文化・経営・流通・技術と複雑に結びついた総合的な取り組みであることを学びました。また、異なる分野の専門家や参加者と意見を交わすことで、多角的に物事を考えることの大切さを改めて実感しました。

お話ししてくださった皆さん、そしてこのような貴重な機会を設けてくださった関係者の皆様、本当にありがとうございました。また、お話できたらとても嬉しく思います!!次回のxTalksも楽しみにしています!!



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xTalks Vol.33 
玉川ブランドのお酒をつくろう!
— 醸造と購買のプロと描く“玉川のお酒”の未来 —

「もし玉川大学が“自分たちのブランドのお酒”をつくったら、何ができる?どんなお酒があったらうれしい?」

そんな素朴な問いから、大学発の価値創造を一緒に考えてみようという企画です。

今回のVol.33では、農学部の佐々木慧先生(発酵工学) に、原料・醸造方法・香り・法律的な縛りなど、“大学で作りうるお酒のリアル”を専門的にご紹介いただきます。

さらに、購買部課長・中村亨氏 に、キャンパスブランド商品の売れ方、学生・教職員・OB/OG の嗜好、そして購買動向といった“現場の視点”を共有いただきます。

醸造の専門知と、キャンパスブランド商品の現場知。

この二つが交わると、玉川大学らしい“ストーリーのあるお酒”が見えてくると思いませんか?玉川大学ならではのブランド創造の可能性に迫ります。

お酒に詳しくなくても大歓迎。

ブランド戦略・商品企画・大学発プロダクトに興味がある方は、ぜひご参加ください。
今回も、xTalksならではのゆるくて濃い議論を楽しみましょう。

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日時:2025年12月12日(金)  18:00-20:30
場所:Zoom
話題提供:

①佐々木慧先生(玉川大学 農学部 先端食農学科)
https://yumenavi.info/vue/lecture.html?gnkcd=g013182

②中村亨さん(玉川学園 購買部)
https://tamagawa-cs.jp/

2025年11月11日火曜日

xTalks Vol.32 コスモス祭スペシャル テーマ:Minecraft Education × 教育現場 — 学校現場での実践を体験する

工学部の小酒井です。
今回のxTalksは、コスモス祭スペシャルとして開催いたしました。

小学校の先生方、玉川大学OG、大学の同僚、そしてご家族まで、幅広い参加者がいらっしゃいました。本当に多くの方々に支えられて、このイベントが成立していたのだと、帰り道でじわじわと実感しました。

準備段階から印象的だったのは、宮内先生×鈴谷先生による神業的な連携。
そして、新井先生の司会運びの見事さ。

「マイクラ教育版」は、とにかく“すごい”。

天野先生が語った「心理的安全性」のお話には、驚くほどの“愛”があり、佐藤先生の「特別支援教育」の視点も深く胸に残りました。
小口先生が「なぜマイクラが教育現場で有効なのか」を語った説明も、腑に落ちる内容で、

どの言葉にも“現場で生まれたリアルな知”がありました。
現場から発せられた言葉は、すべてが愛に満ち、示唆に富んでいたと思います。

今回特に盛り上がったのが、Minecraft Educationの体験会。
子どもも大人も、思い思いにブロックを積み上げ、好きな世界を自由につくりあげていました。
「学ぶ」と「遊ぶ」が自然に混ざり合い、それぞれが自分のペースで試行錯誤する姿が印象的でした。

また、マルチプレーヤーでの協働体験も新鮮でした。画面の向こうで子どもたちが声をかけ合いながら、建築を進めていく姿には、創造性とチームワークの力を感じました。
笑顔と発見が絶えない空間だったなと思います。

このような大盛り上がりの舞台裏を支えてくれた岩野先生、蕗澤先生たちの瞬発力あるサポートは、まさに歴戦の勇者のようでした。
濵田先生もお忙しい中、駆けつけていただき、本当にありがとうございました。

そして、学生スタッフの石川さん、美咲さん。
当日のサポート、本当に助かりました。本当にありがとうございます。

関わってくださったすべての皆さまに、心から感謝いたします。
至らぬ点も多々あったかと思いますが、どうぞご容赦ください。

そして最後に、玉川大学工学部OGとしてこの企画をコーディネートしてくださった新井弓翔先生に、改めて深く感謝を申し上げます。

またここから、少しずつ、新しい景色を広げていきましょう。


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xTalks Vol.32 コスモス祭スペシャル
テーマ:Minecraft Education × 教育現場 — 学校現場での実践を体験する

21世紀型スキルの育成に向け、世界中で導入が進む「Minecraft Education」。 日本でもプログラミング教育、協働学習、探究学習など多様な授業に活用されています。

本企画では、実際に教育現場でMinecraft Educationを用いた授業を実践する先生方をお招きし、学生が体験型セミナーを通じて「学びのデザイン」を肌で感じるイベントにしたいと思います。特に教職を志す学生にとって、ICTを活用した授業設計の可能性を理解し、自らの教育観に取り込む貴重な機会となるはずです。

日時:2025年11月9日(日)  13:00-15:30(16:00くらいまで自主的な延長ありの予定)
場所:玉川大学 大学教育棟2014 6階 521教室(最寄り駅:小田急線 玉川学園前駅)
対象: 教職課程履修者・教育に関心のある学生、学内外の教育関係者(学祭中なので、誰でも参加可能です)
定員: 40名

主催: 玉川大学 STREAM Style 企画運営委員会 協力: さいたま市MELC(Microsoft Educator Local Community)、NPO法人タイプティー

●当日スケジュール

12:30 開場 13:00 イベント開始(全体司会:新井先生)
          開催のご挨拶(玉川大学工学部:小酒井正和)

13:05 実践報告
  新井 弓翔 先生
  天野 翔太 先生
  小口 稚聡 先生
  鈴谷 大輔 先生
  佐藤 裕理 先生
  宮内 智 先生

13:35 Minecraft Education体験(進行:宮内先生)
  ①マイクラ操作体験
  ②マイクラマルチ体験
  ③豆腐建築
  ④makecode

15:00 成果物共有(進行:新井先生、宮内先生、鈴谷先生)

15:25 まとめ(アンケート記入)

15:30 イベント終了

2025年10月17日金曜日

xTalks Vol.31 テーマ:ゼロから考える校務DX-データと人がつなぐ未来像-

xTalks Vol.31では、「教育DX」「ゼロトラスト」「データ活用」をテーマに、学校現場・行政・大学がそれぞれの立場から本音で語り合いました。
堅いテーマと思いきや、会場には笑いと共感があふれ、まさに“人間中心のDX”を体現する回となりました。

一人目は、大阪府教育庁のネットワーク刷新プロジェクトを率いた大堀さんです。
従来の“領域分離型”校務ネットワークでは、インターネット接続できるモードと成績処理など機微な情報を扱うモードが分かれ、教員は何度もログインし直す非効率な環境にあったそうです。
その課題を解消するため導入されたのが、「ゼロトラストネットワーク」。
「何も信頼しない」を原則に、すべての通信とアクセスを検証するセキュリティモデルで、クラウド化・無線化を進めることでどこでも安全に働ける環境を実現しました。

ゼロトラストとは、ただセキュリティを強化したという話ではく、先生たちが効率的に仕事を進められるよう支援することなんです、というのがすごく心に刺さりました。

たしかに、“信頼しない”という前提は、逆説的に“人を信頼する”ことにつながるんだというのはそのとおりだと思います。

また、私としては、初期費用の高さを「6年間の運用でのコスト削減」で説得し、予算を確保したというエピソードは、理想と現実をつなぐ現場発のDXモデルとして最高の考え方、説得の仕方だと思いました。
これは説明される側の経営センスが問われますね。

二人目の登壇者は、玉川学園・玉川大学の情報基盤整備を担当する岩澤さんです。
大規模な学校法人におけるの“現場の声”を届けました。

玉川学園では、K-12(幼・小・中・高)は Google Workspace ベースの「CHaT Net」、大学で Microsoft365、UNITAMA(校務システム)+Blackboard(LMS)という、まったく異なるシステムが併存しています。
岩澤さんが、その橋渡し役として導入したのがクラウドストレージ Boxです。
このBoxを、異なるプラットフォーム間の“断絶”をつなぐ共有ハブとして機能させたいという構想だそうです。

岩澤さんの話は、単なる技術解説にとどまりらず、鋭い考察をされていました。
生徒のデータは蓄積されているのに、活用されていないこと。とくに学籍の断絶が“教育の断絶”になっているというのが大きな課題なのだということがわかりました。

学籍番号が小学校から大学まで統一されておらず、20年分の学びのデータを一気通貫で追えない構造的課題があるわけです。
私としてはやはり、システム連携の前に、人の連携が必要だなって本当に思いました。
岩澤さんの報告は、玉川学園という“教育の縮図”を通して、日本の教育データ基盤が抱える本質的な問題を鋭く浮かび上がらせるものだったのではないかと思います。

LT(ライトニングトーク)では、教育やDXをめぐる多様な現場の実践が紹介されました。
先生がどこで働くかを選べることこそ、働き方改革という教職員の視点
学生による防災ボランティア活動をSharePointで運営し、情報共有を改善した大学生の挑戦
日本酒づくりにAIと統計解析を導入し、「データを読むのはAIではなく人間」と語った醸造の現場の未来
小さなDXが、確かに人の働き方や学び方を変えつつあることを実感できる時間となりました。

総括すると、Vol.31のテーマ「ゼロから始める校務DX」は、単なるシステム導入の話ではありませんでした。
大堀さんの「セキュリティが働き方を支援する未来」と、岩澤さんの「人とデータがつながるDX構想」。
両者が示したのは、“人を中心に据えたDX”の原点だったと思います。
それもあって、テーブル座談会もそれぞれのグループで多様な盛り上がりがあったようです。

DXとは、データやシステムではなく、人と人とをつなぐ仕組みをつくること。
今回のxTalksは、その原点を改めて思い出させてくれる回となりました。




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xTalks Vol.31
テーマ:ゼロから考える校務DX-データと人がつなぐ未来像-

「校務DXは“働きやすさ”と“学びやすさ”を両立できるか?」
学校現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なる業務効率化にとどまらず、教育の質や学園のあり方そのものを根本から変える力を持っています。成績や出欠といったデータの活用はもちろん、部門を越えた情報共有、セキュリティと利便性の両立、そして教職員や学生がもっと自由に動ける環境づくりへとつながっていきます。

今回のxTalksでは、こうした「校務DX」をゼロから捉え直し、データと人がどうつながれば未来の玉川学園・玉川大学のビジョンが描けるのかをテーマに、多様な立場の参加者とともに議論を深めます。現場の工夫や行政の取り組みを学びながら、「わたしたちにとって理想の校務DXとは何か」を一緒に考える時間としたいと思います。

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日時:2025年10月17日(金) 18:00-20:30
場所:Zoom

話題提供:
①大堀順平 さん(大阪府教育庁 教育総務企画課)
「ゼロトラストを踏まえた情報基盤の整備とその意義」
https://reseed.resemom.jp/article/2025/06/30/11203.html

②岩澤孝徳 さん(玉川学園 総務部 情報基盤システム課)
「総合学園の情報基盤・データ連携の現状と課題」

2025年9月30日火曜日

xTalks Vol.30 テーマ:小学部(Primary Div.)を見学して、教育の本質を見直そう -<全人教育>を進化させる大学とK-12とのCo-Creation-

運営の教育学部・濵田です。第30回となった今回は、大学とK-12の垣根を越えた「出張xTalks」という初の試み。玉川学園のPrimary Division(小学部:小学校5年生まで)の日常風景を視察し、つぶさに<全人教育>の教育実践を目の当たりにした上で、そのまま現地で次世代教育のアイデアを語り合うという、刺激的な企画でした。

小原國芳が<全人教育>を唱えたのは大正10(1921)年。従来の教育には人間教養が足りないという問題意識を強く持った小原は、教育を正道に戻し、真実の人間性を伸ばす必要があるとして、塾教育・道徳教育・芸術教育・宗教教育・労作(※創作)教育などの実践を重視する「ゆめの学校」を構想しました。それが玉川学園です。

 


まず、Primary Division教育部長の野瀬佳浩先生に、玉川学園の教育理念についてご講話いただきました。小原國芳の教えは、どんなに頭がよくても、どんなに知識があっても、優しい心がなければ駄目だということ。優しい心とは「感じる心」であり、その心は本物に触れる(※一流に触れる+フィールドに出て五感で感じる)ことで培われる。玉川学園では、音楽教育や劇教育が、その中核を担ってきました。

同時に、現代社会を生き抜くためには、読み書き計算(特に読解力)という基盤的な力を着実に身につけた上で、「学びの技」という探究の技法を身につけることが求められる。これは、創始者・小原國芳の教えに対して、現・理事長の小原芳明が明確化した方針です。子供達は、日常の風景の中から探究の種を見つけ、真剣に追及します。すると、山川草木のすべての中に、自然の「生きる力」が宿っているさまを発見できる。それこそが子供達自身の「生きる力」ともなっていくわけです。

 

  



玉川大学出版会が販売する『学びの技』は、いまや全国のSSH(Super Science Highschool)・SGH(Super Global Highschool)でも活用される探究の教科書です。ただし、玉川学園の探究は、あくまでも知育と徳育の両面展開が前提だということを忘れてはなりません。その上で探究の技法を具体的に提供することが、<全人教育>につながる道です。野瀬先生のご講話をうかがってから授業を見学することで、その重要性がまざまざと理解できました。授業で子供達が活き活きと学ぶ姿には、学ぶこと、知ること、発見することの喜びがありました。そして、至る所に置かれていた子供達の制作物から察せられるのは、子供達豊かな感性と、そこから出てきたであろう子供ながらの鋭い視点の数々でした。Primary Divisionの視察によって、我々はまさに<全人教育>を肌感覚で理解することが出来ました。

視察後、学校施設の一角をお借りし、「小学生に出来る『キャリア教育』は何?キャンパス内だけでなく外部ともつながって教育的価値のある連携事業を考えよう」というディスカッションテーマで、各自のアイデアを語り合いました。キャリア教育とは、子供たち自身が主体的に人生の方向性を見出すこと。そのために、我々大人はどのような環境を用意すべきなのか、そして教師はどのようにあるべきなのか。デンマークのVIA大学からの交換留学生が伝えてくれた話は新鮮でした。海外では社会人と教師との垣根がほとんどなく、そのおかげで子供達へのキャリア教育の話題には事欠かないこと。我々が当たり前と思っている教育の在り方から、あらためて問い直すきっかけをいただきました。





 

最後に、「出張xTalks」の実施にご協力いただきましたPrimary Divisionの教職員の皆様、とりわけ教育部長の野瀬佳浩先生、実施にあたりご協力いただいた河野峻平先生、松田裕介先生に、厚く御礼申し上げます。

<参考>

「全人教育100年」(玉川学園ホームページ)

https://www.tamagawa.jp/introduction/history/detail_19176.html

玉川学園小学部(Primary Division)

https://www.tamagawa.jp/academy/elementary_d/

玉川大学出版部『改訂版 学びの技』

https://www.tamagawa-up.jp/book/b635291.html


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xTalks Vol.30

テーマ:小学部(Primary Div.)を見学して、教育の本質を見直そう -<全人教育>を進化させる大学とK-12とのCo-Creation-

※見学会と座談を対面形式(学校訪問)で実施、見学者の定員あり(上限30名)

小原國芳先生の創出した<全人教育>は、もはや玉川学園の専売特許ではありません。 いまでは全国の学校で、ごく当たり前の概念として使われています。

近年の教育改革の中軸である探究学習やSTEAM教育もまた、玉川学園が先駆的に教育実践を重ねてきた歴史があります。その成果として、中高の教諭が執筆した『学びの技』(玉川大学出版会)は、全国の様々な先進校(SSH, SGH)で探究学習の教科書として使われています。

生成AIの登場もあり、教育スタイルの刷新が不可欠な現代だからこそ、この素晴らしい教育資源を土台に、あらたな教育実践を切り拓きませんか?

いまだからこそ<全人教育>を見直して、玉川学園の最も大切な部分に触れましょう。そして、これからも教育界のリーダーであり続けるために、小学部の先生方と交わりながら、<全人教育>の進化について、アイデアを膨らませましょう。

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日時:2025年9月10日(水) 12:45~15:30
場所:玉川学園小学部(Primary Division)

12時45分 小学部(Primary Division)の入り口に集合  
※セキュリティ保持のため、時間厳守でお願いします
13時 玉川学園の教育理念と小学部(Primary Division)について :
玉川学園プライマリーディビジョン(1-5年生)教育部長 野瀬佳浩  氏
13時35分~14時20分 授業見学(6時間目)
14時30分~15時30分 座談会


2025年7月11日金曜日

xTalks Vol.29 テーマ:生成AIがもたらすビジネス教育の激変期 -教える・学ぶ、その本質が問われるとき-

こんにちは!玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科の新井亜希と申します。小酒井先生のゼミ生です。今回は、xTalksの参加者として私がレポートを担当します。新参者ですが、どうぞよろしくお願いいたします!

今回のテーマは「生成AIがもたらすビジネス教育の激変期」ということで、鎌田先生による話題提供では、生成AIのケーススタディへの活用に関する研究について教えていただきました。ハーバード大学のラボから招待を受けたということで、とても興味深い内容でした!しかし、鎌田先生の報酬は無償とのことです…。鎌田先生おすすめの「白熱教室」も視聴してみようと思います!貴重なお話をありがとうございました!

生成AIを利用することで、情報の正確性について少し懸念はあるものの、教材作成が迅速にできるというメリットはとても大きいと思いました。私の友達にも教員を目指す人たちがいますが、生徒に親身になろうとするあまり教材作成や採点業務に時間をかけすぎるなど、視野が狭くなってしまっているのではないかと思うことがあります。

今回の参加者の何人かの方は、社会人を経てから大学に行き理論を学んだという経歴の方がいらっしゃいました。現場と大学を経たことで視野が広がったこと、現場での事例を理論に当てはめて考えられるようになったことなど、理論と実践の両輪をまわすことの重要性を感じました。鎌田先生と社会人の方々のお話を聞いて、生徒に親身な方こそ、視野を広げて新しい技術にもっと積極的になり、困りごとを“学び直し”によって解決しようとするような、チャレンジの姿勢が大切なのかもしれないと思いました。

また、木内先生のお話の中の、「問題解決には知識だけでなくセンスも問われる」という言葉が心に刺さりました。学生として大学の学びに一生懸命になっている私にとって、実践の経験が少ないことに危機感を覚えました。私もなにかしらの行動を起こしてみようと思います!今回このレポートを書こうと思ったのも、この言葉に感化されたからというのが一つの理由です(笑)!

今回のテーマでは、学生や大学教員だけでなく、社会人の方や幼稚園・小学校の先生まで、様々な方が参加されており「これぞ異分野融合のxTalks!」という感じでした。木内先生いわく、自分の仕事以外にも興味を持つ「おせっかい」が大切とのことでしたので、今回のようにいろいろな経歴・立場の方とお話ができたのはとても良い経験だったと思います。いろいろな話を関連付けて、自分なりの解釈ができたかなと思います。次回のxTalksも楽しみにしています。

本日お集まりいただきました皆様と、またお話しできたらとても嬉しく思います。ありがとうございました!

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xTalks Vol.29
テーマ:生成AIがもたらすビジネス教育の激変期 -教える・学ぶ、その本質が問われるとき-

生成AIの登場により、ビジネス教育は今まさに大きな転換点を迎えています。 ケースメソッドによる実践的学習の中で、ティーチングノートの作成支援や学生のアイデア発想支援に生成AIを活用する試みが始まる一方で、AIによる安易なレポート生成も懸念される時代になっています。
こうした環境下で求められるのは、単なる"生成AIの使い手"ではなく、自らのセンス、知識、教養に裏打ちされた"生成AIとの共創者"となる学生の育成です。

大量の情報を読み解き、自分の頭の中で意味づけ、インデックス化し、AIの力を引き出す——そんな思考力・構造化力が、これからのビジネス教育の中核を担うのではないでしょうか。

今回の座談会では、分野を超えた教職員・学生が集い、
「生成AIとともに『学ぶ』・『教える』とは何か?」を問い直しながら、
激変するビジネス教育の未来像を共に描いていきましょう。

話題提供:
①鎌田伸尚 先生(玉川大学観光学部 教授)
ケースメソッドと生成AI:教材開発の革新が問い直す教育者の役割 ~ハーバード大学AI Case Lab実験から見るビジネス教育の未来~

②木内正光 先生(玉川大学経営学部 教授)
産業界におけるアカデミアの必要性

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日時:2025年7月11日(金) 18:00〜20:30
場所:Zoom  


2025年6月13日金曜日

xTalks Vol.28 テーマ:全人教育のなかの テクノロジー −量子情報科学・解体新書−

工学部の小酒井です。
みなさん、こんにちは。

STREAM Style xTalks Vol.28のレポートです。
もうそろそろ30回が見えてきましたね。
運営スタッフ一同がんばります。 これを読んでいる方もぜひ企画・運営にご協力ください💦

今回のテーマは、ある意味で謎のベールに隠された(?)玉川大学量子情報科学研究所からの話題提供です。

話題提供いただいた加藤研太郎先生とのミーティングから、「全人教育のなかの テクノロジー−量子情報科学・解体新書−」というタイトルを閃いてしまいました(笑)。まさしく、玉川学園・玉川大学のESTEAM教育と量子情報科学の2つに対する「解体新書」となるなと思ったからです。

そうしたら、下記の「企画趣旨」のとおり、加藤先生からは「腑分け」という言葉を使おうという話もでてきて、運営担当の私が一番楽しめたテーマ設定となりました。加藤先生とお話していると、一流の研究者は学ぶ姿勢が違うことがよくわかります。

また、メインのテーマともいえる「玉川の量子情報科学ってなに?」という疑問に答えるべく、量子通信と量子コンピューターの発生・発展の経路の違いをきちんと腑分けしていただいたこともよかったなと思いました。

今回はLightning Talk(LT)からスタートしました。教育学部の濵田先生からは、①NVIDIAのCEOジェンスン・フアン氏が「量子コンピューターが変曲点に達している」と発言したこと、②OECDが提唱する「教師エージェンシー」についての情報が共有されました。

「教師エージェンシー」という言葉は耳にしたことはありましたが、つい「生徒エージェンシー」ばかりに意識が向きがちだったため、改めて考える良い機会になりました。

LTのあとは、本題である加藤先生からの話題提供です。二部構成で、第一部ではESTEAM教育、特に「テクノロジー」を中心とした先生ご自身の考えをお話しいただき、第二部では「量子情報科学とは何か」、そして玉川大学でどのような研究が行われているかをご紹介いただきました。


まず印象的だったのは、第一部で加藤先生が提示された「大学のあるべき姿」としての“内在論理”の見直しという課題提起です。大学は本来、「面白いことを考える人々の集団」であるべきだが、今こそその理念や内在論理を見直す必要があるとのご指摘がありました。そのためのESTEAM教育の腑分けが必要だというわけです。加藤先生は『孫子の兵法』を引用し、自分たちの戦力や論理をまず理解することの重要性を問いかけられていました。

さらに、加藤先生は全人教育論に関する文献を読み解きながら、「夢」と「現(うつつ)」の両方を見据えることの大切さを強調されていました。理想だけでなく、現実も理解し、両者のバランスをとる姿勢には、私も大いに共感しました。会場にいた皆さんも、全人教育への理解が一段と深まったのではないでしょうか。

その後、ESTEAM教育のE・S・T・E・A・Mの、「分解」と「統合」という観点からの分析が示されました。この解説がまた非常に刺激的で、私自身も理解していたつもりのことが、新たな視点で整理され、とてもおもしろく感じました。

第二部では、「量子情報科学」について学ぶ貴重な機会となりました。加藤先生はまず、「情報」には2つの意味があることを指摘されました。ひとつは“information”(事実やデータなど客観的な内容)、もうひとつは“intelligence”(意味や解釈を含んだ情報)です。研究所では、主に“information”の側面を扱っているそうです。

また、通信に関する歴史的な事例も紹介されました。たとえば江戸時代、大岡越前が「堂島の米市場」で先物取引(将来の価格で売買するしくみ)を許可したこと、それに関連して旗振り通信を用いて情報が伝達されていたことなど、情報の活用とその発展が丁寧に解説されました。ここでも“暗号通信”が行われていたようです。確かに傍受されたらマズいですもんね。

さらに、明治時代の通信技術の歴史にも触れられました。明治時代には、海外とつながる海底ケーブルが整備され、日本も領土の拡大に合わせて独自の通信網を構築。その過程で、小原國芳先生が12歳で通信の世界に入ったというエピソードも紹介されました。

量子情報科学研究所では、「量子通信」を中心とした最先端の研究が進められています。光の性質などを利用し、より安全かつ正確な情報伝達を目指す技術であり、暗号や乱数の生成についても研究が進められています。理論と実験の両方を重視する姿勢が印象的でした。量子情報科学は難しそうに感じるかもしれませんが、実は私たちの暮らしにも深く関わる、非常に重要なテーマです。

その後のテーブル座談会も充実していました。テーマは以下の2点です:

「量子情報科学の力で何が解決されると嬉しいか」
→ 触覚や味覚などの感覚を細かく分けて守り、子どもや母親の感覚的課題を解決するというアイデアが出されました。これに加藤先生が関心を持たれていました。また、量子力学を人間科学の視点から教育に活かすことや、生物と物理が融合する未来の可能性についても議論が広がっていたようです。

「玉川学園で量子情報科学研究所や教授たちに何をしてほしいか」
→ 学生の量子情報科学への理解がまだ十分ではないという声が多くあり、図書館でのイベント開催や全学US科目(教養科目)への設定参加促進などの提案がありました。また、漁師情報科学研究所との距離を縮めるために、「はたらく細胞」のような漫画やアニメなどのメディアを活用して親しみやすくするというアイデアも出されました。学生の率直な要望として、「もっと身近に感じたい」という気持ちが込められていたと思います。

今回のxTalksを通じて、参加者同士が意見を交換し、多様な視点から教育や研究の未来について考えることができました。本当に学びの多い時間でした。



次回以降のxTalksですが、7月はAI時代のビジネス教育の教員の変容というテーマ、9月は玉川学園Primary校舎探訪となります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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xTalks Vol.28

テーマ:全人教育のなかの テクノロジー−量子情報科学・解体新書−

企画趣旨:今回のxTalksでは、玉川独自のESTEAM教育をE・S・T・E・A・Mそれぞれの言葉の意味を考えながら、量子情報科学研究所の研究者が"腑分け"をします。

今回の腑分けでは「テクノロジー」という言葉が肝となります。文系・理系を問わず、あらゆる分野の学生・教職員に向けて、ESTEAM教育推進におけるテクノロジーの捉え方、テクノロジーを社会貢献にどう活かすかを考えます。

テクノロジーの代表例としては「通信」を取り上げます。通信は、古今東西、人間の経済活動と深く結びつき、社会の発展を支えてきました。現代では、スマートフォンを通じて誰もが通信を行い、IoT (Internet of Things) によって世界中の電子機器が接続される時代です。玉川学園・玉川大学の歴史においても、「通信」は非常に深い縁があることをご存じでしょうか?

講演の前半では、ESTEAM教育における「T(Technology/テクノロジー)」が他の要素とどう関連するのかを解説します。全人教育との関係も考える時間となります。後半では、最先端のテクノロジー研究を推進する量子情報科学研究所の研究内容について、ひとりの研究者の視点からご紹介します。

専門分野を問わず、多くの皆さんに「量子の世界」の楽しさを理解していただける時間になれば幸いです。

話題提供:

加藤研太郎 先生(玉川大学 量子情報科学研究所 教授)

https://www.tamagawa.jp/research/quantum/

①E・S・T・E・A・Mの分解と統合:反対の合一
②量子情報科学研究所の成果と将来

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日時:2025年6月13日(金) 17:00〜19:00
場所:STREAM Hall 2019 1F アカデミックスクエア
申込締切:2025年6月12日(木)まで

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xTalks Vol.34 テーマ:メタバースの中で3Dクリエイターの「思考の深め方」を理解する ―どのような体験価値を提供したいのか―

運営の教育学部・濵田です。今回の企画は、Vol.13以来、久々にメタバースでの実施です。 みなさんはメタバース空間について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。アバターを介していつでも誰でも自由に滞在できる“居心地の良さ”は、メタバース空間特有のものといえるでしょう。しかし、“居...